漫画「悪女の定義」の全話ネタバレまとめです。毎週木曜日に更新します。
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「悪女の定義」全話/最新話ネタバレまとめ
「悪女の定義」各話のネタバレ
第95話
冬が来た。
暖房魔法が施されているおかげで、前世よりも温かい冬が過ごせそうだと思うシャティ。
そして今日は、狩猟祭当日。
狩猟祭は毎年冬に開かれる行事で、魔獣を狩り、祭儀を執り行うことが主な内容だ。
先代の皇帝、皇后を称える行事でもあるという。
男性たちは武装した姿で森に入って魔獣を狩り、女性たちは森の中に小屋を建ててその場所を守り、狩りが終われば祭儀を行うという。
レジーナの競合がある年には、狩猟祭で優勝した騎士のレジーナが祭儀の指揮をとるのだ。
しかし、狩猟祭に皇太子が参加する場合、彼が勝者となるのが通例であり、必然的に彼のパートナーとして選ばれたレジーナが勝利することになる。
勝者が決まっているのに競争することの意味を問うシャティだが、習わしなのだから仕方がないと思っていた。
第94話
皇太子は、複数の配偶者を持つことができる。
この国の皇帝において、側室を持つことは非難されることではなく、むしろ複数の配偶者を公平に愛することが美徳であるとされる文化があるのだ。
しかし、シャティは知っている。
愛する人の心が他人に向かうことの辛さを。
皇太子に惹かれるほど、彼が何人もの相手と深い関係になる可能性があるという事実がシャティを苦しめていた。
シャティは、愛を誰かと共有したくないとレオにハッキリと告げる。
するとレオは、皇太子もまた、愛を複数の女性に与える気持ちはないだろうと答えたのだ。
シャティは、それなら自分のことも特別扱いせず、恋人のようにふるまうことは避けるべきだと主張。
それに対しレオが誤解だと説明しようとした時、いつの間にか宮についており、外から侍女のラブエルが声をかけた。
第93話
孤児院で出会ったレオと名乗る男性の正体は、皇太子だった。
幻術魔法と変装で他人になりすましていたものの、彼独特の声や手つき、歩き方からそう見抜いたシャティ。
彼女は直接そのことについては指摘しないが、似てる人物を知っているとそれとなく匂わせる。
するとレオも、シャティに似てる人を知っているという。
どんなところが似てるとか尋ねると、美しいところがと答えるレオに、シャティは顔を赤くした。
その時だった。
孤児院の子供たちがシャティの顔が赤いと騒ぎ立て、レオのことが好きなのではと大盛り上がり。
その隙にレオはどこかへ立ち去ってしまい、シャティには悶々とした感情が湧いたのだった。
第92話
孤児院を訪問したシャティ。
横領と児童虐待が発覚して騒ぎになっていた場所だが、訪問時にはすでにそんなことはなかったかのように落ち着いていた。
もっとも、職員は気まずいのか、どこか固い面持ちだ。
新たに就任した孤児院長と挨拶を交わし、子供たちがシャティの訪問のために準備したであろう、歌を歌って出迎える。
孤児院長は、この他にもお芝居なども用意しており、シャティの訪問を歓迎していると告げた。
第91話
アイリーンとともに会場を出ていくレオフリドを見たシャティ。
その時を最後に、宴が終わるまで彼の姿を再び目にすることはなかった。
「後で会おう」と言われたことが気になったていた彼女は、長い間会場に残っていたが、彼はついに戻ってこなかった。
後日。
宴が終わったあとも、レオフリドから連絡はこなかった。
一体どうしてしまったのか。
シャティはひとまず、彼のことを考えるのをやめようとかぶりをふった。
第90話
後で話があると、レオフリドから言われたシャティ。
いつもとは違う雰囲気だったせいか、その日のパーティではいつも以上に皇太子のことが気になったという。
いつの間にか増えた自分の支持者と絶え間なく話しかけられるなか、時折彼と目が合うことがあったシャティ。
一方、レオフリドがパーティを後にしようとすると、アイリーンがダンスを踊ろうと声をかけてきた。
彼は耳元で、契約は終わったのだと改めて告げ、足早に去ってしまう。
すると、彼女の支持者たちに何かあったのではないかと声をかけられるアイリーン。
彼女は、自分の体調が悪く、それを配慮してくれたのだと嘘をついた。
第89話
パーティにて、シャティに手を差し伸べるレオフリド。
話は、パーティに出席する少し前へと遡る。
共にパーティへ行くレオフリドを待つアイリーン。
レオフリドは姿を見せると、単刀直入に話があると言う。
その話とは、この契約関係を終わらせたいというものだった。
頬に汗が流れるアイリーン。
彼女が理由を聞くと、出過ぎた真似をしないこと、基本的な能力を持ち合わせることが条件だったが、どちらも守られていないと告げるレオフリド。
それならば、自分が恋人のフリをする必要はなく、今日のパーティに一緒に参席するのが最後だと話した。
第88話
皇后宮では、アイリーンが皇后から大きな声で叱責されていた。
なんと彼女は、任されていた東穀倉を潰してしまったのだ。
これには皇后も呆れた様子。
しかし、シャティが皇后になるよりかはマシだと思う皇后は、アイリーンに救いの手を差し伸べることにする。
その間、反省のため、アイリーンに宮を出るよう指示する皇后。
実力がなければ、与えられた機会を活かすことはできない。
皇后が指示したと悟られないよう、体調不良を理由に出て行かせるのだった。
第87話
キスをした日以来、はじめてレオフリドとの晩餐の日を迎えたシャティ。
どうやって顔を合わせればいいのかと赤面する。
一方のレオフリドは、全く気にしていない様子。
シャティは、皇太子ともなれば女性慣れはしているので、彼にとっては大したことじゃないのかもと思う。
まもなく自分の誕生日だと話すレオフリド。
例年通り祝賀宴を開くと言うと、シャティはカイラードと行くことを伝える。
少し悲し気な表情を浮かべたレオフリド。
理由を問うと、レオフリドはいつもアイリーンと一緒に参加しているからだとシャティは答えた。
第86話
レジーナお披露目式を終え、後日、アイリーンとともに庭園を歩いていると、シャティがやってきた。
彼女はただ挨拶をして去っていったが、その様子はかつての彼女からは考えられないほどの変化で、アイリーンも気づくほどだったという。
アイリーンは、シャティは何か策を考えており、レオフリドに助けを求めるが、彼は当初の約束通り、最小限の手助けのみを行うと断った。
シャティと直接会うと、思ったよりもずっと変わっていたことに気づくレオフリド。
アイリーンが送っていた密偵にも気づいており、アイリーンと繋がっているであろうレオフリドのことを隠さずに探ろうとしていることが、興味深かったという。
本来であれば、本心を隠して接してくる彼女には気を付けなければならないはず。
にもかかわらず、レオフリドの気持ちは思うように動いてくれなかった。
剣を握っている間だけは気持ちを集中させられたが、カイラードと剣の稽古をした際、彼がシャティと共にチャンドラム家のパーティーに行くと知ってからは、更にざわめき始めたという。
第85話
レオフリドが一人で酒を飲んでいると、そこへアイリーンがやってきた。
パーティーには高位貴族ばかり集まっており、率直に言って彼女には不釣り合いな場だったという。
アイリーンは勢力が大きくない伯爵家の令嬢で、貴族たちの間での評判が良かったために招待を受けたのだと彼は推測した。
アイリーンはレオフリドに対し、単刀直入に提案させてほしいことがあると告げる。
無礼であることは承知のうえで、これが二度とない機会だと話すアイリーン。
何よりも、この提案はレオフリドも気に入ることだろうと自信満々な彼女を見て、彼は話を聞くことにした。
第84話
母は皇后、父は皇帝という両親を持ったレオフリド。
生まれながらに次期皇帝となることが決められていた彼。
国は指導者の能力を重視するため、後継者の座を巡って兄弟たちと競い合う必要があったが、どんなことも誰よりも早く習得できた彼にとって何も問題はなかった。
次期皇太子となることが当たり前と思っていたレオフリド。
しかし、そんな彼の前に、第7王子ストラヴィンが突然現れたのだ。
レオフリドが9歳になったころには、父さえもストラヴィンを支持し始め、レオフリドの世界は崩壊したのだった。
第83話
倒れ込んだ拍子に皇太子とキスをしてしまい、赤面するシャティ。
従者の足音で勢いよく彼から体を話した彼女は、急いで馬車へと戻る。
ユタは、どうしてそんなに慌てているのかシャティに尋ねるが、何も答えようとしないシャティ。
するとユタは、皇太子とキスをしたからそんなに騒いでいるのだろうと指摘。
彼の話では、従者は全員目撃していたという。
隠れて護衛をするのが任務なので仕方がないが、シャティは何見てるんだと叫び、ユタを変態呼ばわりした。
そこに皇太子も戻ってきて、馬車に乗り込もうとする。
こんな状況で一緒の馬車に乗っては、息ができずに死んでしまう。
そう思ったシャティは、ユタバインとともに帰ると言い、皇太子を置いて先に宮へと戻るのだった。
第82話
皇太子とともに馬にまたがり、紅葉の中を駆け抜けるシャティ。
初めは怖がっていたものの、とても楽しかったようだ。
とある場所へと着くと、皇太子は魔法を使ってテーブルやイス、さらには食事を準備した。
紅葉に囲まれるなか、優雅な一時を過ごす2人。
皇太子は、紅葉狩りをするときにどこへ行っていたのかシャティに尋ねる。
前世ではバイトや勉強に追われ、紅葉狩りなど一度も行ったことがなかったシャティ。
あまり行ったことがなくてと答えると、皇太子もそれ以上聞いてはこなかった。
彼もただ、この風景を楽しんでいるのだろう。
皇太子に視線を向けていると、彼もまたシャティの方を見て微笑んだ。
その瞬間、心臓が激しく鼓動を打ち始めたのだった。
第81話
救貧祭が無事に終わったお祝いとして、カイラードにテリオン庭園を案内してもらうことになったシャティ。
もともと皇族だけが出入りを許されていた庭園で、美しさと規模は驚くほどのものだ。
庭園に置かれたテーブルでお茶をする2人。
カイラードは、昨今の活躍で、平民たちは皆シャティのことを好いていると言う。
そして、救貧祭での男装も、貴族間では色々と言われているが、評価する声も多いとフォロー。
さらにはお祝いに、控えめで温かな香りのする香水をプレゼントしたのだ。
第80話
皇太子とともにステージを降りたシャティ。
彼女の様子を察した皇太子は、何かあったのかと尋ねる。
シャティは後日話すといって馬車へと乗り込むが、うっかり皇太子の馬車へと乗ってしまう。
さらには、皇太子は子供から助けを求められたことを知っていた。
彼は「ルウェンダーナの祝福」を受けており、離れたところの会話も聞くことができることをシャティは思い出した。
孤児院は調査したほうがよさそうだと話す皇太子に、彼女も同意する。
第79話
シャティの救貧祭は最高のスタートを見せた。
式は順調に進み、市民に向けてパンと防寒着の配布が行われる。
シャティは市民一人一人に寄り添って、それを手渡す。
慈善病院から来た患者たちを見たシャティは、いつかは彼らに希望を与えられるようなことを成し遂げたいという思いを強くした。
第78話
皇太子に返しそびれたジャケットを、もらっても良いかと尋ねるシャティ。
皇太子は顔を赤くしながら、好きにするといいと答えた。
用途を説明してなかったことに気づいたシャティ。
このままでは変態扱いされてしまうと思った矢先、皇太子が話題を変えてしまい、しそこねてしまった。
皇太子は救荒作物について、魔法作物を植えることになったと説明。
そして、その作物にシャティの名をとってつけるのはどうかと申し出る。
第77話
救貧会議が大成功を収めたことで、ラハディーンの競合は大きな山を1つ越えた。
残るは帝都の外城で行われる救貧祭。皇太子とレジーナが直接参加する慈善行事だ。
レジーナは、未来の皇后が自らの足で駆ける姿を見せるという意味で、男物の服を着て行かなければならなかった。
そこで、久しぶりにマイロット男爵を呼んだものの、彼が用意したものにはたっぷりとレースとフリルがついていたのだ。
シャティは彼らの趣味を尊重しようと思うも、やはりこんなのはダメだと思い直し、大袈裟なレースとフリルを全て取るよう指示するのだった。
第76話
シャティは、南穀倉と西穀倉、両方の利益になることをしたいと話す。
ユソフ伯爵は話に食いついてきたので、シャティは南穀倉は飽和状態で、維持するだけで赤字であることを指摘する。
そこで、南穀倉では穀物貯蔵のために大量の魔法石を必要にしており、自分たちが魔法石を支援するというシャティ。
譲ってもらえる穀物の重さの1%にあたる魔法石を差し出すと提案する。
さらに、飽和状態である穀物を増設する予定であることを聞くと、新技術導入に必要な優秀な魔法士も送ることができると話す。
ユソフ伯爵はもう完全にこの提案に乗り気の様子。主導権がこっちのものになったと見た彼女は、ここである条件を告げる。
新穀倉完成後、5年間。貯蔵される穀物の半分を西穀倉に譲ってもらえないかと。
第75話
食事の最中、カイラードと話をしたことを聞かれるシャティ。
通信具で誰と連絡をとったのかは記録に残るため、皇太子はそれを見て知ったのだろう。
彼の機嫌はそのせいで悪かったようだ。
シャティは、久しぶりに談笑し、来週お茶を飲むことにしたことを話し、こんなことまでいちいち報告しなければいけないのかと尋ねた。
皇太子は、すべてを話す必要はないと言う。
だが、シャティが誰と会ったのか、何を考えているのか、全てが気になるのだと続けた。
第74話
マスターシェルメロは典型的な学者タイプで、温和で柔らかな雰囲気の男だった。
しかし、その柔和な人柄の中にも決して生易しい人物ではないことが感じられた。
シェルメロは、西部地域の飢餓の原因が魔塔の海上研究によるものであることは理解していると言う。
しかし、研究施設があった場所は帝国の領海外であり、帝国からも許可を得ている施設。
魔塔側としては、責任を負う義務はないという。
第73話
午前の仕事を頑張ったご褒美にと、大量のデザートを用意させるシャティ。
幸せそうに頬張るなか、皇太子から通信が入る。
この前話した、作物を植える件を進めることにしたという。
そこでシャティは、不法奴隷で差し押さえた財産の一部を、西穀倉の救貧予算として使うことはできるかと尋ねると、いいだろうと即答する皇太子。
あまりに簡単に決められたことに驚くシャティだったが、皇太子は彼女が話そうとしている内容は見当がつくので、聞く必要はないと言うのだった。
シャティはこの件を他の穀倉に漏れないようクギを刺す。
南穀倉に知られてしまったら、要求条件を引き上げられてしまうかもしれないからだ。
皇太子はふと窓の外を見ると、間もなく紅葉の季節だと言う。
忙しい時期が終わったら、紅葉を見に行くのはどうかと聞かれ、シャティはOKする。
この時シャティは知らなかった。その紅葉狩りの社交辞令が、どんな結果を呼ぶのか。
第72話
シャティと皇太子が庭園を歩くのを、テラスから青ざめた表情で見つめるアイリーン。
挑発しようと思えばいくらでもできるが、今になって2人が恋人関係であることを意識してしまい、後ろめたさを感じてしまうのだ。
そんななか、皇太子は再び恋人繋ぎをしてきた。
アイリーンが見ていることに気づいていないのか、そのままシャティの腰に手を回し、寄り添う2人。
シャティが宮に着くまで、彼は腰に回したその手を離すことはなかった。
第71話
皇太子とともに食事をするシャティ。
彼女は、救貧を行ったとしても食糧難を解決することは難しいので、麦ではなく他の作物を植えることを提案する。
候補に挙がったのは、トウモロコシだ。
栽培期間が短く、水をあまり必要としないトウモロコシはうってつけだ。
皇太子は良い提案だと褒め、検討すると言う。
そして、提案した彼女抜きで進めるわけにいかないので、顧問として関わってみないかと申し出た。
失敗のリスクがほとんどないプロジェクトに便乗できるので、シャティとしては願ってもない提案。
シャティは喜んでそれを受け入れた。
彼女は1つ気になることがあるといい、南穀倉の責任者について尋ねる。
ユンフ伯爵だと皇太子は答え、今年から新たに総責任者を任されることになったと言う。
第70話
皇太子に対し、声を掛けてくれば良かったと言うシャティ。
皇太子は、兄弟水入らずの時間を邪魔するわけにはいかないと言うと、アルテミルに笑顔で挨拶する。
が、シャティは皇太子の機嫌が悪いように感じた。
それは、長い時間を共に過ごしてきた今だからわかるほど、些細な違和感だった。
アルテミルは帰ると言い、シャティの頭を撫でようとしたその時だった。
皇太子が突然シャティを抱き寄せたのだ。
第69話
ルテミルの心から謝罪を受けたシャティ。
以前と人の変わった妹を目の当たりにして混乱しているようで、罪悪感もあってすっかり大人しくなってしまったアルテミル。
よくよく考えれば、彼はまだ18歳なのだ。
しかし、彼を説得するには丁度良かった。
シャティは今回のラハディーンに協力してほしいと告げる。
するとアルテミルは顔を赤くし、またいつものように、ただ会いたいという理由で呼びつけたのかと思ったと口にした。
そして、家門の力を借りるのはシャティにとって良くなく、自身の力で解決することが重要だと言うアルテミル。
それはシャティが予想していた通りの反応であり、これにはミハイルが教えてくれた対処法があった。
第68話
侍女が調べた結果、やはり穀倉の割り当てに皇后の息がかかっていることを知ったシャティ。
割り当て前に皇后と皇太子が言い争い、皇后はセベリダでのシャティの功績を疑っていたのだ。
しかしシャティは、皇太子が公言した功績について疑われることに納得ができない。
侍女は公言されたのが問題なのではなく、ラハディーン直前にそんなことを行うこと自体が公平性に欠けると告げた。
だが、それに皇太子が異を唱え、言い争いになったという。
シャティは、皇后に近づくのは無理であることがはっきりしたと答えた。
侍女は、まもなくカイロンが来るのでこれで下がると言う。
シャティはそのせいで、心が落ち着かずにいた。
第67話
シャティは両親へと手紙を綴っていた。
自分が元気に過ごしていること。
救貧祭が始まり、西穀倉を任されたが心配はしないでほしいということ。
また、皇室から提供される資料だけでは情報が乏しく、他の地方の全ての穀倉の情報を集めて送ってほしいとお願いする。
そして、兄が戻ってきたら宮へ来るように伝えてほしいと書いた手紙を侍女に渡すと、シャティは改めて皇室から送られてきた資料を確認する。
数字ばかりの資料で、こういう時にパソコンがあればと思いつつ目を通すシャティ。
そこで、東穀倉の貯蔵量が西穀倉の次に少ないことに気が付いた。
第66話
皇太子の態度と、割り振られた穀倉に違和感を抱くシャティ。
本来、救貧祭では同じような条件の穀倉がレジーナたちには割り振られており、皇太子もまるで自分の望みとは違うと言いたげな表情を浮かべていたからだ。
この件に関与できるのは皇帝と皇后、そして皇太子だけ。
皇帝は関与しないと言ったので、皇后が何かしたと考える他なかった。
シャティは上で何かあったかを調査するため、国務庁へと向かった。
西穀倉の管理という最悪な任務をやり遂げるには、有能な仲間が必要だというシャティ。
そこで彼女は、国務大臣であるミハイル・シェドモンのもとを訪れる。
宰相である父までもが、補佐官である彼には頭が上がらないほど有能な人材で、この国を影で操っているのは彼だと言う噂もあるほどだ。
第65話
シャティに西穀倉を任せるよう命じられるが、そんなことはできないと否定する皇太子。
彼は、長い干ばつのせいで西武地域の穀物不足が深刻であり、2人のどちらかに西穀倉を任せれば、それこそ公平性を損なうと指摘。
皇太子はそのまま皇后の部屋を後にしたのだった。
一方、シャティは避暑から続いた予定が一気に片付き、静かな日が続いていた。
侍女を連れて屋敷の周りを散歩していると、カイラードとばったり鉢合わせる。
カイラードは、避暑でのことなどを尋ねる。
シャティは、彼の変わらない優しさに包まれると同時に、最後に会った時のことを思い出して胸が痛くなった。
今思えば、悪いことをしたと思うシャティ。
カイラードと話しているなか、皇太子宮の侍従が割り込んでくる。
ラハディーンの競合について、新たに伝えたいことがあるそうだ。
シャティはカイラードに別れを告げ、いよいよ競合が始まることを悟った。
第64話
皇太子と食事を取っていたシャティ。
彼女がやたらと上機嫌なことに気付いた彼は、何かあったのか尋ねるが、シャティは何もないと答える。
アイリーンとのお茶会で、皇帝からの贈り物を見せるよう要求したシャティ。
彼女に贈られたのはルビーの宝飾品で、それはなかなかの高級品であったが、明らかに彼女に似合っていなかった。
シャティは、彼女にルビーの宝石が贈られたと聞いた時点で違和感を感じていた。
アイリーンは自身の魅力を理解しており、栗入りの髪と緑色の瞳によく似合うドレスを好んで着る彼女に、ルビーのアクセサリーは似合わないのだ。
皇帝は、遠回しに自分がどちらを支持しているか表明したのである。
第63話
アイリーンの元を訪れたシャティ。
その時、彼女の表情が固まったのをシャティは見逃さなかった。
挨拶を終え、部屋へと案内するアイリーン。
席に着き、彼女が侍女にお茶を用意させようとしたところで、シャティはあるものを彼女の前に差し出した。
アイリーンはスルーしてお茶を用意させようと急かすが、シャティはそれに待ったをかけ、箱を開けるよう促す。
贈り物を受け取った際は、その場ですぐに開けるのが貴族のマナー。
彼女がそれを無視したということは、気持ちの表れに過ぎない。
基本的なマナーすらも守られていない部屋の空気は緊張で張りつめていた。
第62話
皇太子が生まれて間もない頃から、「次の皇帝はお前だ」と言い聞かせてきたという皇帝。
彼はそれだけ聡明で分別のある子供だったが、第7皇子が生まれて状況は一転。
カイロン公爵と同様、皇帝もまた、第7皇子こそが皇帝にふさわしいと思ったという。
しかし、第7皇子は若くしてこの世を去ってしまった。
そこまでは父から聞いた話だと思うシャティ。
が、皇帝はその後も、皇太子と亡き第7皇子を比べてきたという。
激励のつもりだったが、生きている者が亡霊に勝つことはできない。
皇帝は、皇太子を縛り付けてしまい、今でも彼の心に傷として残っているという。
冷淡な人間になってしまったのは、自分のせいだと言う皇帝。
シャティは怒りで言葉が出なかった。
第61話
時は流れ、シャティに良い知らせが届いた。
西部地域の降水量が増えつつあるという。
奴隷取引に関わった貴族たちは全員処罰され、皇太子は国務会議でも、シャティの手柄について話してくれたそうだ。
シャティを公式に称えるための準備が進むなか、彼女は皇太子の意図がわからずにいた。
アイリーンを利用して自分を追い詰めることもあれば、今回のように有利にするよう動いてくれる時もあるからだ。
準備が整い、シャティは深宮「インペレワトロ」へと向かう。
今日はラハディーンの前日で、皇帝とレジーナが単独面会を行う日なのだ。
第60話
シャティが皇帝との謁見の準備を進めるなか、突然彼女の部屋を訪れる皇太子。
彼は体調を気遣う発言をするが、シャティは警戒を緩めない。
というのも、シャティが避暑に行っている間、アイリーンは派閥を問わず味方を増やしていた。
アイリーン個人でやったこととは考えづらく、裏で皇太子の指示があったに違いないとシャティは考えていたからだ。
シャティがお茶を準備しようか尋ねると、彼は外を歩きたいという。
侍女はついてこないよう言うので、シャティも覚悟を決めていたが、意外にも皇太子の口からでるのは雑談ばかりだった。
皇太子は、避暑に行った時とはまるで別人だと言う。
宮に戻ったのだから当然だと言うが、2人きりの時は必要ないのではとツッコまれるシャティ。
そして彼は、シャティは自分には気安く接しても言いと告げる。
それを聞いた彼女は警戒しながらも、180°変わった態度を取り始めたのだった。
第59話
休暇が終わり、シャティの頭を悩ませる宮での生活が再開。
彼女の侍女であるエディスとエスターは、深刻な顔つきで彼女の部屋を訪れる。
2人から、アイリーンが新興貴族たちと会話していたことを聞かされるシャティ。
その相手とは、カイエンと接する国境を守っているセオフェル伯爵や、北部地域の商団を掌握するノリエン伯爵といった大物で、何度も会って親睦を深めているという。
自分と同じ様に、避暑に行っている間に支持者を集めていたことを知ったシャティは、2人に席を外すように告げ、少し考えを整理するという。
するとそこへ、入れ替わるようにラブエルが部屋へとやってくる。
彼女もまた、アイリーンのことで話しがあるという。
ラブエルは、アイリーンが貴族派とも親交を深めていると報告する。
皇太子殿下の恋人でありながら、敵対勢力の貴族派と仲を深めているのだ。
そもそもアイリーンはどの派閥にも属していないとラブエルは言うが、シャティはそれが、皇太子の指示によるものなのか、単独行動なのかわからずにいた。
第58話
しばらくの間、シャティを包み込むように抱きしめた皇太子。
その後、側近が羽織を持ってきたため、シャティは皇太子から離れた。
凍えるかと思って抱きしめてくれたのかと尋ねると、用心するに越したことはないと、皇太子は頬を赤くする。
彼の様子が普段と違うように感じたシャティ。
その理由は、ホテルに戻ってから明らかになった。
ホテルに戻り、鏡をみたシャティは大きな叫び声をあげる。
服が濡れて透けていたのだ。
セベリダに来てから、毎日恥ずかしい思いをしていると思った彼女は、もう二度と来るものかと怒るのだった。
第57話
フェロン帝国首都。
宮廷ではアイリーンが椅子に座り、外出の準備をし終えて居眠りをしていた。
そこへプラチェットがやってきて、今日は休んだほうがいいのではと言うが、それはできないという彼女。
だが、もうじき皇太子とシャティが避暑から戻り、本格的な競合の準備のためには体調に気を付けねばと忠告する。
アイリーンはお礼を言い、それでも今日は最も重要な日だという。
なんせ、皇后陛下にお目にかかるのだから。
第56話
休日をダラダラ過ごしたことがないという皇太子に、休むことの楽しさを教えてあげると意気込むシャティ。
大きなソファの前にはテーブルが置かれており、机にはクッキーやワインが用意されていた。
シャティは、休むためには準備とリラックスできる姿勢が重要だと言う。
見本をみせるかのようにソファにドサッと腰かけると、隣に座るよう皇太子を誘う。
だが、皇太子は見え透いた見得を張りながら、しっかりとした姿勢でソファへと座る。
シャティが予想していた通り、皇太子が育った環境はとても厳格なものだったという。
文武の両方に優れているうえに、皇后の産んだ息子だったため、幼い頃から厳しい教育を受けてきたのだ。
第55話
皇太子は、奴隷商のアジトを攻めることを部下に命じる。
その時、部下にロールキャベツ男子という言葉を知っているか尋ねるが、部下は誰もしらないと答えた。
シャティは、皇太子が普通の人間ではないことに驚いていた。
皇太子は自分が言った陰口を耳にしていたが、作戦のためにしたことなので、責めることもできなかったようなのだ。
だからと言って、謝るのもおかしい。
皇太子が盗み聞きしていたことを、シャティは知らないと思っているはずなのだ。
シャティが屋敷を歩いていると、ユタバインと遭遇する。
彼はシャティに元気がないことに気づき、心配するが、さては皇太子とハニーとかダーリンと呼び合っているのが恥ずかしかったのだと指摘した。
全部聞かれていたことに驚くシャティ。
ユタバインは、あれは仲が良くなくては到底できないといい、レジーナとしてうまくやっていけるようで安心したと語った。
第54話
私的な用途の奴隷が必要なフリをして、支配人のデヴァンスを部屋から連れ出したシャティ。
事務室に残り、取引帳簿を探す2人のために時間を稼がなくてはと、皇太子の陰口から好みのタイプの話まで、買わない奴隷の条件を並べながら時間を稼ぐ。
だが、とうとう痺れを切らした様子のデヴァンス。
シャティはそれに気づくと、あっさりと話をまとめに入るのだった。
デヴァンスから、箱を渡されたシャティ。
彼女は、絶対に中身は見ないでおこうと思う。
2人は部屋へ戻る。
皇太子の表情が暗いので、シャティは失敗したのかと思うが、対照的にコーゲンは明るく親指を立てた。
こうして作戦は成功した。
にもかかわらず、不機嫌そうな皇太子に、シャティは疑問に思うのだった。
第53話
デヴァンスが魔法探知機を金塊にかざす。
すると皇太子は、その形の魔法探知機は始めて見ると話しかけ、注意をそらした。
しかし、魔法探知機のライトは赤く光る。
このままではバレてしまう。その時だった。
コーゲンが魔法探知機に魔法をかけ、その光を収めたのだ。
デヴァンスは魔法探知機が反応してないのをみると、2人は信用に値する人物だと口にするのだった。
第52話
馬車に乗って奴隷商のアジトへと向かうなか、シャティと皇太子はさっきの演技を激しく後悔していた。
奴隷商のアジトは、広い野原にポツンと建てられており、いたって平凡な建物だった。
しかし、建物の奥には、無数の奴隷が檻へと収容されていた。
シャティは怒りに身を任せ、奴隷商の男をぶん殴りたくなるが、深呼吸をして落ち着かせる。
今重要なのは、自分の感情ではなく作戦なのだ。
シャティは、こんなみすぼらしいものを売ろうとしているのかと怒ったふりをし、責任者を出すよう怒鳴る。
すると、程なくしてこの場所の責任者であるデヴァンスという男がやってきたのだった。
第51話
ロニーが予想よりも早く奴隷商を連れて来てしまい、戸惑うシャティたち。
偽金塊の完成までは、まだ時間がかかる。
長く待たせ続けては疑われる可能性があると思ったシャティは、コーゲンに作業を続けるよう言うと、奴隷商の前に姿を現した。
シャティはロニーに部屋を出ていくよう言う。
ロニーがお金はというと、シャティはお金なんてあげるとは言ってないと告げた。
噓つきだと2人を罵るロニー。
シャティが証拠はあるのかと言うと、ロニーは黙り込んでしまう。
第50話
シャティを優しく抱き、干ばつの解決策を知っていながらも、自身の感情を優先して黙ることはないと信じていたという皇太子。
しかしシャティは、解決する術がないと思い込んでおり、本当は自分のつまらない感情のために口に出さなかったのだと思う。
自分のせいで、多くの人を苦しめてしまったと口にするシャティに、それは自分のせいだと言う皇太子。
むしろ、話してくれたおかげでこれ以上の被害を防ぐことができたお礼を言い、彼女の手に口づけをしたのだ。
そこにコーゲンがやってきて、マジックタワーへ連絡したことを皇太子に報告する。
ひとまず会談まで、装置の稼働を中断するよう説得してくれたのだ。
第49話
シャティとコーゲンが話していると、皇太子が緑化事業の総責任者であるシャリアンを連れてくる。
彼女は色々な本で名前を目にする有名人だ。
軽く挨拶を交わすと、管理小屋へと案内された3人。そこで、作業は問題なく進んでいるが、降水量が予想よりもかなり少ないことを知るシャティと殿下。
樹木の生存に魔力を使いすぎており、このままでは魔力も不足してしまうのだ。
第48話
緑化地域へ向かうなか、皇太子の言葉を思い出して悶絶するシャティ。
原因である皇太子は、平然とした顔で落ち着かない様子だと告げる。
すると皇太子は、潜入隊を送ってみてはどうかと言う。シャティはいい案だといい、この際本当に奴隷商と取引してみてはどうかと提案した。
その際、偽造紙幣を使うという。魔法を使えば棒切れを金塊に変えるのは容易く、緑化地域には魔法士が大勢いるので、協力を求めることも無理はない。
あとは潜入隊の人員さえ確保できればという皇太子。シャティは、ここにいるではないかと自分達を指差した。
本当に言っているのかと戸惑いつつ、いつも予想外のことを言い出すなと感心する皇太子だった。
第47話
ラブエル邸では、ラブエルが息子夫婦の子供の面倒をみていた。
するとそこに、息子夫婦が帰宅する。
息子は、ラブエルのおかげでゆっくり過ごせたとお礼を言うと、少し話があると言う。
なんでも、付近の貴族派の貴族が、レジーナと会っているようなのだ。
もしや母上が仕えているレジーナではないかと心配する息子。
しかしシャティはセベリダにいるため、アイリーンに違いない。
ラブエルは、息子にお礼を告げ、注意が必要だと思うのだった。
第46話
ぶつかってきた少年を捕らえる皇太子。
シャティが慌ててどうしたのか尋ねるなか、少年の懐から一つの小包が落ちた。
それは、さっきシャティたちが購入したブレスレットだった。
どうして盗んだのか尋ねると、少年はもともと自分のものだと言い張る。
第45話
二日酔いのため、頭痛に苛まれながら目覚めたシャティ。
朝食を取る中、皇太子はシャティの体調を心配し、緑化事業はまた別の日に見に行くよう提案する。
それにはシャティも同意だったが、どうしても早く見に行きたいシャティ。
すると皇太子は、午前中は村を散策し、午後から視察することを提案。
シャティは身を乗り出して同意すると、すぐに出発の準備にかかるのだった。
第44話
首都では、休暇中のエディスがパーティーへとやってきていた。
するとそこに、チャスリンが男性といるのを目撃する。
チャスリンもエディスに気づき、2人は挨拶を交わすと、チャスリンは一緒にいた男性を紹介した。
「こちらはダスウィン令息ですわ」
チャスリンはエディスに、少し話したいことがあると言う。
ダスウィンに断りをいれ、頬にキスをするチャスリン。どうやら2人は恋人関係のようだ。
会場を移動するなか、チャスリンは話を切り出した。
第43話
シャティとユタバインが馴れ合っていると、皇太子は戻ってきて、出発を告げます。
ユタバインをジロッと見つめ、配置に戻るように指示する皇太子。
すると皇太子は、2人が幼馴染ということは知っていますが、思ったよりも親密なんだなとシャティに言います。
その発言に戸惑いつつも、まぁと答えるシャティ。
こうして2人は、セベリダの中心部にある宿所へと出発。
そんななか目に飛び込んできたのは、荒れ果てた外の風景だった。
第42話
メロドラマ小説を探しにビブリオへ行った日(21話)のこと。
皇太子は、シャティが意気揚々と図書館に入り、メロドラマ小説を集中して読む姿を目撃していたのだった。
恥ずかしさのあまりに、顔を赤くしてうなだれるシャティ。
皇太子は意地悪なだけだと思っていたと言うと、皇太子は親切にした覚えはないが、意地悪をしたつもりはないと答え、シャティは呆れてしまいます。
意地悪なのはむしろシャティだと言う皇太子。以前のシャティは、皇太子にしつこくつきまとったり、恋人であるアイリーンに嫌がらせをしたりしていた時も、皇太子は常に無関心だったのです。
第41話
絶壁を飛んだ馬車。
シャティは思わず皇太子に抱きつき、あの溺れた日の苦しみを思い出します。
(嫌…!!やめて…!!死にたくない…!!)
(あの時と同じように溺れて死ぬなんて…!誰か助けて!)
そのまま意識を失うシャティに、皇太子はしっかりしろと声をかけます。
目を覚ましたシャティは、思わず皇太子を振り払ってしまいます。
そして、ふと窓を見ると空が。何と馬車は、空を飛んでいたのでした。
第40話
短い休暇が終わり、再び宮廷での生活が始まったが、それも束の間。
間もなく、エストゥスの避暑へと発つ日がやってくる。
シャティは、侍女たちの機嫌が良いことに気が付きます。自分がいない間に思いきり羽根を伸ばせたのかと訊くと、そうだと言うエディス。
さらには、シャティの方こそ実家でのんびりできたのではと、逆突っ込みまで。
冗談を言い合えるほどになったということかと、前よりも気が楽になったとシャティは思います。
と、その時シャティは、近くにあった服の数々に気が付きます。
第39話
パーティへと赴いたシャティとカイラード。
主催者の女性は、シャティが思ったよりも面白く、こんなにも気品溢れる女性だったなんてと褒め称える。シャティの悪い噂ばかり聞いており、思い込みをしていたようだと語るのだ。
彼女は、別れが名残惜しいが、また必ず会いましょうという。シャティも礼をいい、パーティー会場をあとにするのでした。
カイラードと馬車に乗り込むシャティ。2人は、気まずそうにお互いの顔を見つめあっていた。
場面は、先日カイラードが訪問したときに移る。
第38話
目覚めたシャティ。仮病で何日も横になっていたせいか、昼間でもずっと寝れるようになったという。
シャティは気を取り直して招待状の整理にあたろうとすると、ばあやが部屋に入ってきて、1枚の手紙を手渡される。
またしても招待状かと苛立ちをみせるシャティ。が、手紙は宮廷からのものだった。
手紙はカイラードからで、そこには体調を崩したと聞いたから、都合のいいときに伺いたいという内容だった。
第37話
父の話を整理するとこうだ。
皇后の息子として生まれた上に、優れた能力まで兼ね備えたレオフリド。そんな彼が、皇太子になるのは当然のことだった。
しかし、第7皇子ストラヴィンが生まれ、状況は一変。レオフリドの重要な支持勢力だったカイロンが、ストラヴィンを支持したのだ。
それは、皇帝の後継者選択にも影響を及ぼした。人を見抜く術を持たないレオフリドよりも、ストラヴィンの方が皇帝に相応しい人物であると判断されたのだ。
しかしストラヴィンは、皇太子になる前に事故によって命を落とし、レオフリドが皇太子の座につくこととなった。
第36話
ベッドの天蓋を見つめ、想いにふけるシャルティアナ。
初めてここで目覚めた時に一番初めに見えたもので、今はもう見慣れて懐かしささえ感じることに、自分もずいぶんこの場所に慣れたものだと思う。
カーテンの外では、ばあやが何やらコソコソと動いていた。シャルティアナは挨拶をして、なんでこんな時間になるまで起こしてくれなかったのかと尋ねる。
久しぶりの帰省に、ゆっくり休んでもらおうと思ったと答えるばあや。
まさにその通りで、こんなに気が休まるのは久しぶりだといい、リラックスし過ぎて顔が緩んでしまうシャルティアナだった。
第35話
皇太子からの返事が遅いことに、不安を隠せないシャルティアナ。エディスは、殿下が忙しいからではと言うが、それにしても遅すぎると言う。
本当に帰省させてもらえなかったらどうしよう。そんな思いが頭をよぎる中、エスターが部屋をノックする。
シャルティアナは慌ててベッドに戻り、エスターに中へ入るよう告げる。そこには、エスターの他に、皇太子の召使いが3人もいたのだった。
本当に体調が悪いのか確認するためかと思うシャルティアナ。すると、エスターは皇太子からの贈り物といい、バラの花束を手渡した。
第34話
アイリーンからお茶に誘われたシャルティアナは、自分にケンカを売ってきたことを、後悔させてやると意気込んだ。
アイリーンは、水晶宮へ行けることになって、まるでご褒美をいただけたような気分だと告げる。
それを聞いたシャルティアナは、いずれ自分のものになる宮といい、戻ってきたら感想を聞かせろと嫌味を告げる。
その言葉に、表情が曇るアイリーン。セシリアは心配するも、エディスは問題ないと判断したのだろうと話す。
第33話
ラブエルは休暇で宮を離れていましたが、副侍女長であるばあやがいるため、特に困ることはありませんでした。
この場所についてはまだ知らないことも多く、休みの日には本を読んで勉強していたシャティ。
昼間の居眠りから目覚めたシャティ。すると…。
セシリア「不愉快ですわ!」
部屋の外からセシリアの声が聞こえてきました。
第32話
シャティとカイラードが席に着き、侍女たちがお茶やお菓子を用意します。
シャティ(一体何を話すつもりなのか)
が、カイラードはいっこうに話始める気配がありません。
シャティは侍女たちに聞かれてるせいで言い出せないのだと思い、彼女たちを退出させました。
侍女たちがいなくなると、カイラードはあの日のことを謝りました。
あの時どうして反論しなかったのか尋ねますが、カイラードは申し訳ないというだけで、理由は言いません。
第31話
皇太子に部屋まで送ってもらう途中、アイリーンと鉢合わせてしまったシャティ。
アイリーンは、皇太子をお茶に誘います。
さらにアイリーンは、シャティも一緒にどうかと尋ねてきました。
誘う気なんてかけらもないくせに、そんな言葉をかけてくることに腹が立ったシャティは、最近は頭痛の種になるようなこともないからと断ります。
その反論に、悔しそうな表情をみせるアイリーン。
第30話
恒例の皇太子との食事の時間。
相変わらず、愛想のかけらもなく、黙々と食事をとる皇太子。
シャティは、この前はちょっとからかいすぎたと思いますが、どう思われようと関係ないと思い直します。
すると、皇太子がじっとシャティの方を見つめていることに気が付きます。
シャティ(…でも今日は下手なことしない方がよさそう)
シャティが気まずそうにしていると、皇太子はきちんと感謝を述べさせてほしいと言い出しました。
第29話
2人きりになったヘルマは、侍女を辞めさせてほしいと涙を浮かべなから言います。
シャティの読みは当たり、アイリーンに辞めるように言われたと推測します。役に立たないヘルマをシャティの側におくのは、口をすべらす危険があるため嫌なのです。
理由を尋ねますが、ヘルマは謝るだけで話そうとしません。
そんな彼女の手を掴み、自分はヘルマのことなら何でも知ってるというシャティ。
シャティ「アイリーンの密偵だということもね」
ヘルマは驚き、手を離そうとしますが、シャティが強く握りしめ離しません
第28話
皇太子「何か分かったのか?」
皇太子の話を受け、干ばつの原因はラニーニャ現象だと確信したシャティ。
しかし、ラニーニャ現象は自然現象のため、解決する方法はありません。
シャティ(でもそんなことを言っても落ちこませるだけ…)
真剣な眼差しを向ける皇太子に、シャティは分かったとしたら、また頭を下げるつもりかと尋ねる。
必要とあらばと答える皇太子に、二度も頭を下げることに価値はあるが、二度も受けたいと思うほど魅力的ではないと言います。
困った表情をみせる皇太子。
第27話
ガウンで姿を隠し、アイリーンの元へとやってくるヘルマ。
アイリーンは用件だけ伝えるといい、宮から去ってほしいと単刀直入に告げます。
その言葉に戸惑い、これまで自分が、アイリーンのためにどれだけしてきたのかと言いかけると、アイリーンは「自分のためですって?」と口を挟みます。
今日自分がヘルマのせいでどれだけ恥をかいたかといい、本当に自分の味方なのか信じられないと言うアイリーン。
理解できない表情で見つめるヘルマに、1つ1つ説明してあげると怒りの感情を露にするアイリーンでした。
第26話
皇太子は、十分に尊重する態度を取っているつもりだと悪びれた様子もなく言います。
お披露目パーティーの際、慣例を破ってまで無視したことについて訊くと、あれには理由があったと言い、こんな無駄な言い合いはやめようとお茶を濁します。
シャティ(そんなことを言って、逃げただけじゃない)
シャティは、全て西武地域の干ばつのせいだと言うのかと訊くと、「干ばつについて知っているのか?」と、焦った様子で聞き返す皇太子。
シャティは、この反応に違和感を覚えます。帝国のことなのに知らないはずがないとシャティは言うと、皇太子はため息をつき、あの干ばつのひどさを知らないものはいないと言いました。
第25話
アイリーンは、カイラードにどうして私的にシャティと交流しているのかを尋ねます。
レジーナお披露目パーティーで一緒に踊った時は特におかしくはなかったが、人目の多い外宮でも散策を楽しみ、一緒にティータイムを過ごしたこと。さらにはパーティーに同伴できたことを話すアイリーン。
さらには、互いに名前で呼び合っていることも暴露し、シャティが有利に運んできた状況は一転します。
何も言わないカイラードに見かねて、シャティが口を挟もうとしたその時、皇太子が止めに入るのでした。
第24話
ドレスを何着買ったか、どんなアクセサリーを買ったかは知っているのに、なぜそのお金はどこから出たものなのか聞いていないのかと女性たちに尋ねるシャティ。
シャティ「まるで誰かがわざとその部分を隠して話したみたいに」
それは、シャティがわざとアイリーンにバレないよう、ヘルマが聞こえないところで請求先を変えたからでした。
「そんなはずは‥‥」と動揺する女性たち。こんな風に、1つ1つ攻めていけばいいと思うシャティ。
第23話
部屋で一人、泣きまねをするシャティ。
鏡に向かって表情を確認しながら、もっと同情を誘うような表情を作らないとと、一人ブツブツ呟きながら色んな表情を作っています。
そんな中、部屋がノックされ、侍女たちが退宮の挨拶をしにきます。
明日はチャンドラム家のパーティーがあるといい、エディスに一緒に参席してもらうから、準備をしておくよう話します。
明日のパーティーには、貴族の子女たちだけが集められます。主役であるユタバインが、仰々しいパーティーを望まなかったため、同じ年頃の貴族にだけ招待状が送られたのです。
第22話
皇太子と話したせいで、頭痛がするというシャティ。
自分を孤立させようと企んでいるのに、カイラードと自分が親しくするから苛立っていると推察するシャティ。
「今に見てなさい。今回のパーティーではこの前みたいに大人しくしてなんかいないんだから」
憎たらしい皇太子の慌てる顔を見るのが楽しみだと言いますが、思い出すのは皇太子に後ろから手を掴まれたときの光景が蘇り、胸がときめいてしまします。
第21話
フェロン帝国宮廷には、2つの図書館がある。
1つは貴族にも開放されている外宮図書館リシアム。
もう一つは、皇族のみが利用可能なここ、内宮図書館ビブリオだった。
レジーナは特別にこの場所の利用が許されていた。
シャティは、本を読んでくるから時間がかかるといい、侍女たちには適当に時間をつぶしておくよう命じます。
このビブリオには、あらゆる書物が保管されており、その中には禁書であるメロドラマ小説もたっぷりとあるらしく、内容も過激なものが多いという。
第20話
エディス「まさか…わざとだったのですか?」
その質問に、シャティは密偵が紛れ込んでいるのは明らかな状況で、味方になってくれる人を見つけ出すための手段だったことを明かします。
エディスは、それを無謀と言いますが、素晴らしいと讃え、自分もすっかり騙されてしまったと話す。
そしてエディスは、わざわざ助けに来た甲斐がなかったと思っていたが、自分の人を見る目が確かだったようで安心したと微笑みます。
エディスは自分のことを軽蔑していたよう思えたと話すシャティ。エディスは笑いながら謝ると、アイリーンよりもシャティの方が皇后に相応しいと話します。
第19話
その頃シャティは、部屋で一息ついていました。
カイラードとのティータイムは無事に終わり、パーティへの招待も快諾。ヘルマもエサに食いつき、ここまで順調にも関わらず、どうしてこんなに心がざわめき、ときめくのかと自問するシャティ。
そこに、ラブエルからも体調が悪いのではと声をかけられてしまい、そんなに顔に出ていたのかと慌てるシャティ。
皇太子とアイリーンが自分を陥れようとしているのに、ときめいている場合ではないと、自分に言い聞かせます。
しかし、周りが全て敵という状況で、ステキな皇子様が現れて自分に親切にしてくれたのに、ときめかない方がおかしいのではと考え直すシャティ。
第18話
カイロンから頼まれて侍女になったことを明かしたラブエル。しかしシャティは、信じてもいい相手なのかどうか、しっかりとした確証が欲しいと思います。
そこで、シャティは、自分は皇后になるためには、どんなことであろうとやるつもりだと言います。アイリーンでも皇太子でも、たとえ皇帝陛下であっても、邪魔するものは許さない。
それでも、ラブエルの気持ちに変わりはないかと言い、じっと彼女の目を見つめるシャティ。
ラブエルは、「二言はありませんわ」と答えました。
第17話
シャティの散歩に付いてくると言うラブエル。ヘルマの反応を見る限り、2人がグルというわけではなさそうだ。
ラブエルが一体何を狙っているのか考えていると、スパイが1人だという保証はどこにもないことに気づきます。
ヘルマはアイリーンのスパイでしたが、残る4人の中に皇太子のスパイがいる可能性は十分にあるのです。
ラブエルは華々しい経歴の持ち主で、本来ならば侍女に志願する必要はありません。
しかし、ラブエルはシャティの機嫌をとったり、必要であればシャティの言葉に言い返すこともあるため、スパイでない可能性も高く、頭を悩ませるのでした。
第16話
翌日。シャティは部屋で紅茶を飲んでいました。
今日の日程を尋ねると、皇室衣装職人のマイロット男爵が、午後に訪ねてくるという。
マイロット男爵は、皇室所属のため、選ばれた方のみが会うことを許されており、レジーナは特別に彼の訪問を受け、作品を買う機会を持てるというのだ。
するとヘルマが、レジーナに対する費用は皇室から出るから、タダでドレスが手に入るチャンスだと嬉しそうに話す。
シャティは、自分がドレス1つ買うお金もないように見えるのかとヘルマを睨みました。
第15話
アイリーンに手紙を渡したヘルマ。
第5皇子に渡すよう言われたことを伝えると、以前皇太子のことを諦めたといっていたことから、ラブレターだと勘違いする。
魔法の封蝋で閉じたことで、中身がみえないことがかえって仇となってしまったのだ。
レジーナが他の皇子と結ばれること自体は可能だが、そのためには皇太子の許可が必要だというアイリーン。
そしてアイリーンは、手紙までやり取りする仲でありながら皇太子に知らせていないのは、下心があるからだと推測したのだ。
身に覚えのない、第5皇子とのスキャンダルをでっち上げられそうになり、苛立つシャティ。
第14話
皇太子との夕食が終わったシャティは、風呂に入りながら、ヘルマは本当に皇太子のスパイなのか考えます。
皇太子の周りに、そこまで適当な人材がいないはずはなく、皇太子の余裕のある態度が、まるで自分は当事者ではないかのような反応だったからです。
途中、夕食の帰り際に皇太子に抱きかかえられたことを思い出し、顔を赤くするシャティですが、改めて考えを整理します。
ヘルマがスパイであることは99%確定ですが、皇太子の態度を見ると、ヘルマは皇太子のスパイではない気がするのです。
第13話
皇太子のもとへ、使いの者がシャティとのディナーを伝えにきます。
カイロン公女様と一緒だと言うと、「わかっている」と答え、スタスタと部屋を出ていく皇太子。
一方、シャティはヘルマに食事の場所を案内されますが、少し褒めただけにもかかわらず、いい気になっている彼女が忌々しく感じていました。
食卓へと案内されるシャティ。
そこには、小さな2人用のテーブルだけが置かれており、こんなに皇太子との距離が近いと落ち着いて食べられないうえ、こんなことを毎週やらなければいけないことに気が重くなります。
第12話
フェロン帝国首都、カイロン公爵家邸宅。
カイロンはばあやに、男爵夫人の爵位を授けます。
カイロンはこれからもシャティのことを頼むといい、叙爵が遅れたことを詫びます。
夫婦で祝ってくれたことにお礼を伝えるばあや。
夫人は、宮廷でのシャティの様子をばあやに尋ねます。
元気だと答えるばあや。夫人は、侍女たちが来なくて心配だったが、無事に解決してよかったというと、誇らしげな表情をみせるカイロン。
夫人は、宮で大騒ぎでもしたのではないかとカイロンを疑います。カイロンは否定しますが、夫人はシャティのことになると我を忘れるのだと言うのでした。
第11話
「ちょっと…許可もなく私の部屋に入ってくるなんて、どういうつもり!?」
呆気に取られる侍女たち。シャティの良心も痛んでいます。
「…無礼をお許しください公女様」
そう言ったのは、ラブエル・セイニ・ピオゲル。
巨大な商人集団を率いるピオゲル家の女主人で、若い頃、宮廷で侍女として勤めた経験がある物凄い経歴の持ち主だ。
(こんな人が私の侍女なんかに志願するはずがないと思うけど…)
シャティは、なぜあなた達の無礼を許さなければいけないのかと問います。
第10話
ミハイルという一人の男が、カイロンがどこにいるのか部下に尋ねますが、部下は言葉を濁します。
閣下に口止めされてるのはわかったが、早いうちに吐いた方が身のためだと脅すミハイル。
部下は、公女の問題で話すことがあり、皇太子宮に向かったというと、ミハイルは大きなため息をつき、山積みの仕事を放り出して逃亡したのかと激怒するのでした。
第9話
「まだ皇太子殿下のことが好きなのかい?もしもお前が望むのならば…」
シャティは、父の言おうとしていることがわかりました。
父は皇太子の廃位を企てるために動くこともできる。しかしカイロンは皇帝陛下の忠臣。皇帝が定めた皇太子に反旗を翻すのはとてつもない反逆。
また別の不幸を呼ぶことになるかも知れないのです。
「私のために無理しないで」
そう言ってシャティは、父が語るのを遮ります。
父は、自分の力はシャティを幸せにするためにあると言い、シャティも父と母の幸せを願っていると言って、その場を後にしました。
第8話
侍女は女中と違い、一種の秘書職。同じ貴族を従わせることになるため、代々高貴な家柄だけが、侍女をつけることができると言う。
アイリーンの侍女としてやってきたプラチェット伯爵夫人に、問題はないのかと疑問を抱くシャティ。
すると、部屋に戻ったばあやは豹変し、怖い顔で大問題だと告げます。
アイリーンの家柄はそこまで高貴ではなく、ステナ伯爵の夫人でさえも侍女を付けていないというばあや。
第7話
ある日、アイリーンに会いに行こうと勝手に部屋を出ようとするシャティ。しかしばあやに見つかって止められてしまいます。
先日、シャティの方から会いにいったのだから、今度はアイリーンからシャティに会いに来るべきというばあや。シャティは公爵家のお姫、アイリーンは伯爵家の息女という身分の問題もあると言います。
シャティは、同じレジーナで、今は不利な立場。1日も早く謝って、関係を修復しなければいけないと思ったシャティは、他の作戦を企てます。
ある日、庭園でさんぽをしているシャティとばあや。そこには、2人の宮内の使いもいました。
そろそろ部屋に戻ろうというシャティ。しかし、自分の部屋とは違う方向に行くシャティに、ばあやは部屋はこっちだと言います。
第6話
シャティは、今まで悪行を紙に書き出します。
ある日は友達の恋を邪魔したり、友達の人間関係をぶち壊したり、友人の前で大暴れすることも。
シャティはあまり悪行の数と、恨まれている人物の数に、恥ずかしさで顔を赤くします。
ばぁやは、シャティにどうして悪行を振り返っているのか尋ねます。シャティは、この前のパーティで、思った以上に自分に良くない状況だったことを気づいたと言います。
なので、自分が誰に対してどんな失敗をしたのか、そのくらいは頭に入れておいて気を付けようとしていたのでした。
第5話
アイリーンが悪口を制止し、自分をかばう姿に違和感を感じるシャルティアナ。自分の気分が悪いからそう聞こえるのかと頭を悩ませます。
するとアイリーンは、皇太子のエスコートで入場するべきではなかったが、皇太子の押しに負けてしまったと言います。
遠回しに自慢しているように感じるシャルティアナ。考えすぎかなと思い、アイリーンについての記憶で、見逃してることがないか思い返してみる。
アイリーンは、誰に対しても優しく親切であり、シャティの無礼な態度にも礼儀正しい姿勢を崩さなかったという。
第4話
非現実的なことばかりが起こる。
信じていた恋人と友人に裏切られ、不意の事故で目が覚めたと思っていたら、魔法と怪物の存在する不思議な世界に来ていて、その上貴族のお嬢様になっていた。
「でも今、最も非現実的なのは、私の美しさ…!」パーティ参加用のドレスを着て、髪の毛もセットしたシャルティアナ。
自分の見た目とかそこまで気にしないほうだと思っていた芙美ですが、それは本当の美しさがどんなものか知らなかったからだと、鏡に映る自分の姿に見とれています。
今日は、レジーナお披露目のパーティが行われる日で、皇太子とアイリーンに会えるチャンスだというシャルティアナ。
第3話
いくら考えても信じられない。悪女さやかのせいで死んだのに、さやかそっくりの同じ行動をしている悪女が私だなんて。
こんなことがあり得るのか。そう思いながら、シャティは溜息をつきます。
後ろからシャティの名を呼ぶ声が。シャティはそれに気づかず、肩に手を当てられてようやく気が付きました。
「なにか悩みでもあるのかい?」
そう話しかけてきたのは、シャティの父であるカイロン公爵。フェロン帝国の宰相であり、公爵の地位があるからこんなにすごい屋敷に住んでいたのだ。
第2話
この世で一番最悪な死に方は、溺死だと思う。
こんな風にたった1人、漆黒の中で、寂しく孤独に。
川底へと沈んでいく芙美。私を1人にしないで、たった1人で死なせないでと思ったその時、なぜか声を出し、息が出来ることに気づきます。
手に感じる布団の感触に、ここは病院で自分は助かったのだと思う芙美。良かったと、ホッと息をつきます。
目が覚めると、天井には天使の絵が描かれ、さらには天蓋つきといかにも高級そうなベッドに、病院じゃなさそうだと言います。
第1話
「芙美、俺たち別れよう。さやかと付き合うことになったから」
智也はそういって、さやかとどこかへ消えていく。
小柳芙美の22年間の人生の中で、今日が最も最悪な日だった。
トイレに籠り、頭を抱える芙美。とりあえず出ようとした時、智也とさやか、そして芙美のことを話す同じ科の友人の声がした。
友人は、智也とさやかの交際に驚き、さやかが芙美を裏切ったことを罵倒する。そして、芙美も少しムカつくところがあるといい、陰口を叩かれる芙美。
悪女の定義のあらすじ・キャラクター
あらすじ
友達に彼氏を取られた日、川に落ちて溺死してしまったはずが… カイロン公爵家の最凶最悪のワガママ娘「シャティ」として生き返った…!? 悪女に憑依し他人の人生の残りを生きることになった「芙美」 ある日、レジーナ(皇后候補)に選ばれた「シャティ」は皇太子の恋人 「アイリーン」と皇后の座を巡り熾烈な戦いを繰り広げる。 結局愛する人たちを守るため悪女の真骨頂を見せつけようと心に決めた「シャティ」だが…
主要キャラクター
キャラ | 概要 |
---|---|
シャルティアナ (芙美) | 恋人に浮気され、現実で溺れ死ぬが、転生してシャティとなる。 レジーナの1人で、芙美と入れ替わる前はワガママで自己中心的な人物で、かなり嫌われ者だった。 |
アイリーン | レオフリドの恋人。 レジーナの1人でシャティのライバル。 表面上はつつましく、周りからの信頼も厚いが、裏の顔はシャティにスパイを送り、根も葉もない噂をでっち上げるなどかなり腹黒い女性。 |
レオフリド | 皇太子。 表情の起伏が少なく、何を考えているのかわからない。 シャティに対して冷たく接するが、時に優しくなるため、真意が読めない。 |
ユタバイン | シャティの幼なじみ。 現在は第一皇子・レオフリドの騎士として行動を共にする。 |
カイラード | 第三皇子。 シャティに対して紳士的な行動をとるが、アイリーンにどうして私的にシャティと交流しているのか尋ねられたときに返事をせず、関係が悪化。 そのことで迷惑をかけたことを、今でも引きずっている模様。 |
悪女の定義はピッコマで無料配信!
プロローグ~2話はピッコマで無料配信中!3話以降は、24時間ごとに1話を無料で読むことができます。今すぐ絵つきで読みたい方は、ピッコマへどうぞ!
悪女の定義の原作は韓国
韓国のkakaopageオリジナル作品
「悪女の定義」は、kakaopageで連載中の韓国の漫画を、日本版にローカライズされたものです。
kakaopageは韓国の漫画アプリで、それを日本版にしたものが漫画アプリ・ピッコマです。
kakaopageオリジナル作品はピッコマ独占配信中です。もちろん無料で見れますので、お気に入りの作品を探してみてはいかがでしょうか。
小説家になろう作品ではない
「悪女の定義」は、最近流行りの転生ものとあって、小説家になろう発の作品と勘違いされがちですが、違います。kakaopageオリジナル作品ですので、お間違いのないようご注意ください。